中国民間企業従業員は全て契約社員?

良く日系企業の方から聞くお話として、「中国人従業員は愛社精神も無く定着しない。
出来る人程やめてしまう」というお悩みを聞きます。

この問題については、そもそも原則論から判断し無ければならないと思います。
ある意味日本社会は特殊で、現在終身雇用制度が崩れかけているとはいえ、大企業
を中心にまだまだ終身雇用的な(法体系もそうですが)考えが日本人の常識です。
極論を言えば中国では(公務員・国営大企業を除く)全ての従業員が(法的にはと
もかく)日本でいう契約社員であると考えれば、日本との違いが納得できるかと思
います。

会社と有期の労働契約を交わし就業するのは、中国だけでなく日本以外の殆どの国
の常識でもあると思います。

中国でも2013年に労働法が改正され、使用者は同一の労働者と2回「有期労働契約」
を締結した場合、3回目に労働契約を締結するとき、労働者から「期間の定めのない
労働契約」の締結の申込があれば、使用者は当該労働者と「期間定めのない労働契約」
を締結しなければならない条項が追加されました。
この改正をもって、中国も終身雇用制度となっていくというのは早計だと思います。
なぜなら大多数の中国人が常識として、あるいは個人の考え方として終身雇用という
考え方をしていないからです。
もちろん中国人の従業員でも同じ会社で長く働く方も沢山いらっしゃいます。

但し大多数の人が(特に出来る人程)下記の様な考え方を持って働いています。

・チャンス(賃金・ポジション)があれば転職したい。

・会社から得られるものが今後もあるか?

・経験を基に(現状の会社の人脈や情報を含む)独立・起業したい。
 あるいはライバル会社に良い条件で転職したい。

この様な考えを日本人としては「なんとモラルや愛社精神の無い・・・」と思って
しまいますが、背景として上記の「全て契約社員である」という前提で考えマネジメ
ントしなければなりません。

また、背景として現在の中国の若者が置かれているプレッシャーを理解する必要も
あります。
中国の人件費高騰は日本でも報道されていますが、物価の上昇程賃金が上がっている
訳では無く、マンションや車を買わなければ結婚も出来ないという日本人には理解が
し難い常識もあります。

では具体的に現地従業員の定着率・モチベーションをあげるには、どの様な対策が
必要でしょうか。

1.キャリアディベロップメントを提示する。
2.事業の将来性を示し、共有する。
3.福利厚生を充実させる。
4.研修を与える。
5.業績に応じ報酬を与えられる柔軟性をもった人事制度を構築する。
6.日本人駐在員だけでつるまず、積極的に現地従業員と交流する。

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これらを行えば、必ずしも人材の流出を抑えられるわけではありませんが、経験上有効
であると思います。
もちろん事業コストを考えれば、全て大量のコストを掛け実施する訳にはいきませんが
工夫・アイディア次第で低コストで行える事も沢山あります。
例えば研修等は社内で行う方法もありますし、福利厚生も安く行う方法もあると思います。
日本では高度成長期にあったような社内旅行等敬遠される傾向にあると思いますが、中国
の従業員は殊の外喜んで参加する人が多いです。
また、研修の機会も多くは無いので、積極的に参加します。
いずれにしても「日本の常識は世界の非常識」というのは中国での従業員雇用にも当てはま
り現地の考え方を理解しながらの人事マネジメントが必要です。

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