いつも日本のお客さんや友達から北京に住んでいて大丈夫?と聞かれます。「大丈夫じゃ無いです」とは答えていますが・・・
日本のニュースでは極端に汚染が酷い日(まあそうでなければニュースにならないかもしれませんが)の映像で、皆がマスクして歩いている映像が流されています。
事実ではあるものの少し誇張して伝わっている気はします。
北京は空気汚染が酷いものの、日本のニュースで流されるような汚染の酷い日が毎日という訳でもないのです。
ちなみに本日は20μg/m3と問題無いレベル。
特に夏場は風の吹いた後など、青空が広がる日もあります。
<PM2.5の指数が500μg/m3を超えていた日>※今年3月撮影
<次の日は50μg/m3以下で青空>※同じ場所です
冬場は確かに毎日の様に酷いかな・・・
中国ではまだ冬場の暖房や調理に石炭使ったりするので、その影響もあると思います。
また、近年中国内でも空気汚染の報道がされているせいかマスクをしている人は増えては来ています。
但し、その割合は実はかなり少なく、逆に言えば殆どの人はマスクをしていません。
中国人の感覚としては、空気汚染は今に始まった事では無いという事もあります。
まあ北京市民も当然北京の空気汚染が酷いのは知っていますが、現実問題だからと言って引越する訳にもいかず、(日本人が想像する程には)あまり気にしていないのが現状では無いでしょうか?
最近でこそ中国政府もPM2.5の数値を公表していますが、以前はPM10しか公表してませんでした。
以前私は米国大使館が1時間毎に発表するtwitterでPM2.5の数値を確認していましたが、中国はそもそもtwitterやFacebook等のSMSにはアクセスできません。
私はVPNを通してこれらをチェックしていますが、最近まで大多数の中国人にとってPM2.5を確認する手段も無かったのです。
2008年の北京オリンピック時は車のナンバー末尾の奇数・偶数で交通規制したり、周辺の工場の稼働を止めたり等の対策が取られました。
確かにその効果はあり、オリンピック期間中は青空が見える日が多かったと記憶しています。
但し、車の交通量や工場の可動も少なった今年の国慶節中連休期間でも汚染が酷い日があったので、空気汚染の原因は単純なものでは無いのでしょう。
色々な原因が言われていますが、車の排気ガス・工業排気・地形的に空気が溜まりやすい等等複合的な原因だと思われます。
私が恐怖を感じたのは、今年の1月12日、霧が凄いな~と思いつつタクシーで出かけたのですが、そのタクシーの車内のラジオで外出を控える様警告を聞いた時です。
慌ててtwitterで数値を確認すると、なんと1000μg/m3超え・・・
<1000μg/m3超え当日の写真>
※夜で社内からの撮影で分かりにくいですが
日本の環境省の汚染の激しい日の暫定指針は70μg/m3以上となっています・・・
喫煙室が大体1200μg/m3との事で、北京は日によっては一日中喫煙室にいるような状態な訳です。
私には小さな子供も居ますので、出来る対策としては家では空気清浄機(シャープ製)を24時間稼働していると、マスクを着用位でしょうか。
汚染の酷い日のみ着用しているので、マスクをしている日は正直少ないです。
私の以前の勤務先は総合検査・監査機構で、PM2.5の測定も行っていました。
同僚が測定器を持っていたので、私の机の上で空気を測定して見ました。
<ハンディのPM2.5測定器>
結果は35μg/m3。
因みにこの日は青空も広がる汚染少なめの日でした・・・
この様な状況を招いている中国政府を擁護する訳ではありませんが、(意外と?)対策も行っています。
主な環境対策としては
・第12次5カ年計画で2011年-2015年でGDP原単位あたりの二酸化炭素(C02)17%削減目標を発表。
・1万企業・単位(大学等)を対象としたCO2数値削減目標。
・各企業を対象にエネルギー監査、清潔生産監査等の環境監査を指令。
・小型車に補助金を支給。
・北京は車の新規ナンバー取得を抽選に。
・北京でナンバー末尾番号による通行規制。
(平日5日の内1日は車が使用出来無い)
・北京で販売するガソリンはユーロ4に準じたもの。
等々の規制を行っていますが、あまり日本では詳しく報道されていないと思います。
実際に効果がどれ位出ているのかは、今後長年の変化を見る必要があると思います。
これらの規制は車関係を除けば主に企業に対し行っており、日本の様に一般消費者までエコ意識が高いとは言えません。
但し、私も仕事で中国政府の環境監査等に関わってきましたが、これらの環境対策に使われる予算は莫大なものです。
個人的には是非ノウハウのある日本の環境関連企業に、中国環境ビジネスに参入して欲しいと思っているのですが、中国の環境対策は政府の指定業者にて行われるケースが多く、あまり日系企業の参入がうまくいっているとは言えない状況です。
そこには強大な利権構造が存在します。
ある意味ではこの利権サークルに入る事が出来るかがポイントなのです。
中国政府の環境監査にご興味のある方、是非メール頂ければと思います。
info@fms-bj.com
この様な規制は北京を中心に行われていますが、中国の大気汚染は北京だけの問題ではありません。
私が仕事で良く行く天津でも実感としては北京と大差ないと思いますし、先日ハルピンでも大量のスモッグが発生したと報道されました。
<天津駅前の広場もこんな感じ>
先日友達が子供を連れて北京に遊びに来る予定だったのですが、日本で北京の空気汚染のニュースが流れ、奥さんの反対でチケットをキャンセルしたとの事でした。
奥さんが折角の海外旅行へ行くのに世界屈指の汚染都市に行きたく無いという気持ちも理解できますが、個人的には残念でした。
今後も中国政府は大型の対策をしていくでしょうが、効果があがるのでしょうか?
この地に住む一個人としても是非改善して欲しいものですが・・
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